お問い合わせ・ご予約はこちら

0120-67-4193

お問い合わせフォーム

JR東船橋駅 南口前
定休日
日曜・月曜・祝日
病名別漢方治療
  • 更年期

更年期障害の漢方治療

更年期障害、漢方では経断前後諸症などと称し、加齢に伴って腎精が減少し、その結果、肝、心、脾などが影響を受けて発生する陰陽失調とされています。
腎精は五臓六腑を機能させる原動力であり、腎精の不足による臓腑の衰えにより、気、血、津液、精の生成も減少し、身体の恒常のために消費されると衝任に蓄えるほど余裕がなくなるため、閉経に至るとされています。また、気、血、津液、精の不足は更に五臓六腑の機能を失調させ、各臓腑間の関係も変調をきたします。
しかしながら、加齢による腎精の減少は必然的に生じるが、全ての人が本症に悩まされるわけではありません。また、症状の種類や程度も十人十色です。これは、本症の発症には、身体的な要因だけでなく、精神的、環境的な要因が、関わっているためです。
更年期を過ぎて、急速であった腎精の減少が緩やかになると機能が衰えたなりに落ち着き、精血不足の状態での調和を回復し、更年期障害の諸症状は鎮静化していきます。
更年期障害の漢方治療は、急速な腎精の減少による乱れの幅を小さくしていくことを目標とし、その結果、様々な症状を改善していきます。

更年期障害の代表的症状

月経症状:月経周期錯乱、月経過少或いは月経過多、崩漏、経閉
精神神経症状:急躁易怒、精神抑鬱、不安、失眠多夢、気怯、驚恐、健忘、頭痛、頭重、眩暈、耳鳴、神疲乏力、四肢麻木、咽中炙臠、蟻走感
自律神経失調症状:面紅多汗、盗汗、肢冷、手足煩熱、心悸、腰痛、肩痛、関節痛、悪心嘔吐、腹痛、便秘、下痢、食少、頻尿、残尿感、排尿痛

現代医学における「更年期障害の定義」

参考までに日本婦人科学会の更年期障害の定義を記載してみましょう。

日本産婦人科学会の産婦人科用語解説集では、「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群であり、その症状はのぼせ、冷汗、冷え性、心悸亢進など主として血管運動神経障害、精神神経症状などが特徴でありその他、性器の変化、関節痛、腰痛など骨粗鬆症を含む。」と定義されています。
また、更年期障害の発生要因に関しては、エストロゲンの減少に加え、社会文化的な環境因子、個人の性格構造などの関与が指摘されています。

ちなみに欧米には更年期障害に相当する用語はなく、更年期には独特の症状がみられるとされているのみです。
更年期障害=不定愁訴というのは我が国独特の概念ということになります。

漢方的にみた更年期障害の発生・悪化の仕組み

1.老化

漢方では「腎は精を蔵す。」といいます。
加齢による腎精の減少は必然的に生じるが、全ての人が更年期障害に悩まされるわけではありません。しかしながら、腎精の減少が急速だと、陰陽のバランスがくずれ、腎陰虚や腎陽虚などの病証を引き起こし、様々な症状に発展します。


2.先天不足

精や血などが生まれつき不足気味の方は、更年期になると腎精や肝血、心血などを消耗しやすくなるため、疲労倦怠感やイライラ、不安感、不眠などをはじめ、様々な症状が発症しやすくなります。


3.慢性疾患、過労、睡眠不足、房労過多、流産、中絶

上記のようなことも腎精を損傷しやすいため、更年期障害を引きおこす要因となります。また、腎精だけでなく、心や肝の陰血や脾気なども消耗するため、諸症状の悪化の原因となります。本来は閉経前から、腎精を補う漢方治療をしておくと更年期を楽にのりきることができますし、普段の体調も良くなります。


4.精神刺激

腎精は五臓六腑の原動力であり、そのため更年期に腎精が急激に減少すると五臓六腑の機能が衰えます。イライラ、不安、思慮過度などは、弱っている肝、心、脾、腎などをさらに痛めつけるため、更年期障害を悪化させます。


5.胃腸虚弱

腎精は、飲食物から得られる水穀の精微により補充されています。また、気、血、津液は、水穀の精微から生成され、全身の臓腑、組織、器官を滋養し生命活動を維持しています。胃腸の機能が虚弱だと、精をはじめ気、血、津液の生成が不十分になり、五臓六腑などの機能も衰退するため、更年期障害を悪化させます。


6.飲食の不摂生

飲食の摂取不足や偏食などから栄養が不足していると、胃腸虚弱の例と同じように、気、血、津液、精の生成が不十分になり、更年期障害を悪化させます。  また、辛い物や味の濃い物、脂っこい物などの過食や飲酒過多などは、心火、肝火、痰飲、瘀血などの病邪を生じ、更年期障害を増長します。


更年期障害の漢方治療のポイント

更年期障害は、腎精の減少が根本にあり、その部分が、一般的な自律神経失調などと、大きく異ります。様々な不定愁訴がみられますが、その基礎は腎精の不足になります。

更年期障害において、十人十色の症状を治す治療を標治、根源となる腎精の不足を補う治療を本治といいます。標治と本治を併行しておこなうこと(標本同治)が、必要であり、治療の早道となります。また、事前に腎精を補っておくことは、更年期障害を予防するコツとなります。また、更年期は、五臓六腑が不安定になっているため精神的にデリケートになっています。イライラ、不安、思慮過度などに反応しやすくなるため、上手にストレス解消することも大切です。                   

更年期は、次にくる新しい人生の節目のような時期です。漢方を上手に使って、快適に乗り切りましょう。

ニキビ

ニキビは、皮膚科学では「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」、漢方では「粉刺(ふんし)」と称します。毛嚢と皮脂腺の慢性炎症による皮膚疾患の一つです。 皮脂過多や毛孔の角化などにより皮脂の分泌がスムーズに行われないと炎症を起こし、顔面をはじめ胸部、背部、肩部などに多く発症します。ニキビは毛嚢に一致して生じ、発展過程において面皰、丘疹、膿皰、結節、瘢痕、痘痕などがみられます。そのため、臨床では往々にして数種の段階のニキビが同時に存在します。 ニキビの皮膚科学上の分類 面皰(めんぽう) 毛穴に皮脂が詰 […]

ガンと漢方薬

昨今、ガン治療や抗ガン剤の是非について、様々な書籍や情報があふれています。薬局店頭でも、「ガンには、どんな漢方薬が良いのですか?」といったお問い合わせも少なくありません。 また、気になることの一つとして、お問い合わせの患者さんの中に、漢方と信じて、サプリメントを服用している例が多いことです。これらのサプリメントは、本当に効果があるものであれば良いと思いますが、「ガンには、○○が良い!」とか、「○○で免疫力UP!」などのキャッチフレーズを武器に、実際は大した臨床データや裏付けの無いものも多く見られ […]

糖尿病

糖尿病は漢方では「消渇」という病証に相当します。 消渇とは、口渇引飲、消穀善飢、小便頻数量多を主要症状とする病証をいい、さらに口甜、尿甜、身体消痩、小便混濁などもみられます。 口渇引飲は「多飲」、消穀善飢は「多食」、小便頻数量多は「多尿」ということから「三多」、或いは「三消」ともいわれ、更に消痩も含め、「三多一消」などと称されることもあります。 【参考】 参考として日本糖尿病学会の糖尿病の診断基準を見てみましょう。 A 次の①~④のいずれかに該当する場合には『糖尿病型』と判定。 ①早朝空腹時血糖 […]

腰痛

腰痛は、腰部の疼痛を主症状とする一連の病証を指します。腰部の片側或いは両側に疼痛を生じ、或いは痛みが背脊腿胯に及んだり、腰部の屈伸転側不利などの症状がみられます。腰は、「腎之府」といわれ、腰痛は五臓六腑の中で腎と関係が深いです。 腰痛の漢方的な発生原因 腰痛の漢方的な発生の仕組み 腰は腎の府であり、足少陰腎経が「脊を貫き腎に属している。」ので、腰痛は腎と密接な関係があります。また、腎と膀胱は表裏をなし、足太陽膀胱経は腰を通過しています。さらに、任脉・督脉・衝脈・帯脈もその間に分布しています。その […]