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元気堂の漢方薬通信

VOL.198 夜尿症

夜尿症は、漢方では「遺尿」「遺溺」「尿床」などとよばれ、睡眠中に1回から数回、無意識に排尿し、目覚めた後で気づくことをいいます。一般的には「おねしょ」といったほうがわかりやすいですね。漢方的には、乳幼児は、経脈、気血、臓器も未熟なため、排尿を自分で制御できません。そのため、3才以上で、睡眠中に、無意識に排尿するものを病態とします。

A君は8才、「1週間に数回、夜尿がみられる。比較的寒いときや、疲れた後などに多い。心配性。暑がりで寒がり。手足は冷えやすい。やや風邪を引きやすい。食欲や便通にムラがある。」といった症状でした。脾肺気虚と腎陽虚を兼ねていると考え、黄耆建中湯と鹿茸製剤を服用していただくことにしました。

服用を始めると夜尿の回数が徐々に減り、3ヶ月ほどで、全くなくなりました。A君もお母さんも大喜びです。

漢方では、お子さんの症状、体質、悪化条件などから、腎の弱りにより排尿を抑えられない「腎陽虚」「腎陰虚」、体力の不足や疲労などによる「脾肺気虚」「心気不足」、ストレスなどによる「肝気鬱結」、食事の偏りなどによる「肺胃熱盛」「肝経湿熱」などのパターンに分類し、さらに詳細に検討して処方を決定します。

「おねしょ」といっても、他の疾患と同様、漢方的に分類することが、治療する上で最も重要となります。「おねしょ」は、それ自体がお子さんの精神的負担になっていることも少なくありません。治療することにより、精神的にもノビノビしてきます。

また、子供によく使う漢方処方は服用しやすいものも多いので、小さなお子さんでも比較的飲めるようです。是非、一度ご相談下さい。

VOL.163 膝の痛み ~その2~

膝は、関節の自由度が大きく、かつ不安定関節であるにも拘わらず、体重の負荷が掛かりやすいため、損傷しやすい部位の一つです。痛みとともに、可動制限や腫れ、水が溜まるなどの症状を伴うことも多くみられます。 「74歳のA子さん、半年程前から膝のやや内側やふくらはぎなどが痛む。痛みは引きつるような痛みが多く、時折刺すように痛むこともある。膝裏が引きつることもある。普段から、下半身が重だるく、疲れやすい。痛みは、冷えや疲労で悪化しやすい。食欲正常で温かいものを好む。」とのことでした。 気血両虚、肝腎虚損に瘀 […]

VOL.193 過敏性腸症候群(IBS)の漢方治療

日本消化器病学会ガイドラインによると、過敏性腸症候群(IBS)は、「お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。」と記載されています。食べ物を消化・吸収し、不要なものを便として体の外に排泄するための腸の収縮運動や知覚機能は、脳と腸の間の情報交換により制御されています。この情報交換の信号が、過敏に強くなってしまうと、過敏性腸症候群(IBS)を引き起こします。 「34才のA子さん。数ヶ月前から、下痢 […]

VOL.135 まぶたの痒み

当薬局だけかもしれませんが、最近立て続けに、瞼(まぶた)の痒みや赤みのご相談をお受けしました。 気温や湿度の急激な変化に皮膚がダメージを受けている方が多いのかもしれません。 瞼は、身体の中でも一、二番目に皮膚の薄く、様々な刺激を受けやすい部位です。アトピー性皮膚炎の治療の時なども注意が必要です。 42才のAさん。「数ヶ月前から、瞼の痒み、赤みが気になる。患部は乾燥しているが、時々掻き壊すとジュクジュクすることがある。症状は夕方に強くなりやすく、疲労や睡眠不足、ストレスなどで発症しやすい。食欲はあ […]

VOL.101 花粉症8

今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は地域差がありますが、昨年の2~10倍といわれており、平年より多いという予想です。 すでに症状が出始めた方もいらっしゃいます。 花粉症(アレルギー性鼻炎)は漢方では、「鼻鼽」といい、鼻水、鼻づまり、クシャミ、涙目、目や喉の痒み等を共通の主症状とします。 他の疾患同様、「花粉症」という病名にとらわれずに、きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となります。 「風寒」「中風」「風温」「風湿」「肝鬱」「湿痰」「実寒」「瘀血」「脾気虚」「脾陽虚」「肺陽虚」「腎陽虚 […]