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元気堂の漢方薬通信

VOL.199 二人目不妊

最近、お子様連れで、不妊の漢方相談にいらっしゃる方が増えています。「二人目不妊」という言葉を目にすることも多くなってきました。

36歳、パソコンを多く使うお仕事をしている方。「二人目もお願いします。」と久々のご来店です。「一人目のお子様を出産後、復職し、数ヶ月前から勤務時間が長くなった。家事、育児とお仕事の両立で、心身の疲労が著しく、寝つきが悪い。生理周期は、26~32日、経血の量は普通、色は明るいが、塊が混じる。排卵の頃に、身体の冷えと排卵痛がある。生理前の体調は、夕方に手足の熱感やのぼせを感じ、重だるく、便秘気味になる。」とのことでした。

血瘀証に肝気鬱結証を兼ねていて、排卵期と生理前は、気滞による症状が顕著になっていると考え、生理周期に合わせて、芎帰調血飲第一加減と丹梔逍遙散を飲み分けていただきました。また、腎精不足を補うために、瓊玉膏も併用しました。服用開始1ヶ月で、生理前の熱感、便秘、身重感と排卵の頃の冷え、排卵痛が軽減しました。忙しいながらも、体調が安定し、服用開始から約8ヶ月で妊娠。安胎の漢方薬も服用して、無事出産を迎えました。かわいい弟を前に、お兄ちゃんも嬉しそうです。

二人目不妊でお悩みの方は、「一人目ができたのに何故?」と思いがちですが、一人目を妊娠、出産することで、「気血」や「腎精」を消耗しています。その上、育児や家事とお仕事の両立で、身体的、精神的に無理をして、さらに「気血」や「腎精」を消耗したり、ストレスをためているかもしれません。これが、不妊の原因になることもあり、二人目不妊は不思議なことではないのです。生理の状態や体質をよく見極めて、お身体に合った漢方薬をセレクトし、妊娠しやすいコンディションに整えていきましょう。

当薬局では、不妊のご相談は、専任の女性薬剤師が主に対応させていただいております。妊娠、出産の経験もあるので、妊娠中のことや育児のことも、お気軽に、ご相談下さい。

VOL.56 月経不順

漢方では、月経を一定の規律をもった周期的な子宮からの出血と定義し、月経周期が21日以下のものを経行先期、35日以上のものを経行後期、短縮したり延長したりして不規則なことを経行先後無定期と称して分類しています。 さらに、随伴症状や体質などを考慮し、「血熱」「陰虚火旺」「肝気欝結」「肝火上炎」「気虚」「血虚」「陽虚」「陰虚」「気血両虚」「腎気不固」「血ォ」「実寒」等々に分類し、約六十種類ほどの薬方を使い分けていきます。 33才のAさんは「月経周期が28日から60日くらいで、一定しない。ストレスや冷え […]

VOL.119 更年期障害4

腎臓は、血液からの老廃物や余分な水分を濾過し尿として排泄する器官ですが、漢方でいう「腎」とは、そのような働きに加えて、ホルモンの要であると考えられています。 更年期障害は、漢方では経断前後諸症などと称し、閉経前後に腎精(ホルモンと考えるとわかりやすいです。)が急速に減少することにより、身体のバランスがくずれて発症します。 そして、腎精の不足が、精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などにも影響を及ぼすと考えられています。 腎精の消耗は閉経だけで […]

VOL.213 春に悪化するアトピー性皮膚炎

漢方では、疾病の発症や悪化を生じる外部からの刺激(外邪)を外感六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)としています。また、体の中の不調により外邪に類似した症状を引き起こすものを内生五邪といいます。この中で、風のような症状(目眩、震え、痙攣、痒み)を内風といいます。其の一方で、六淫の風は、外風ともよばれます。内風による痒みを生じる皮膚疾患は、臨床上、多く見られます。外感六淫と内生五邪は、互いに影響し合い、内生五邪を生じている場合、それと類似の六淫を感受しやすい(同気相求)と考えられています。例えば、「普段か […]

VOL.44 にきび

Sさんは23才の女性。「十代の頃はあまりニキビに縁がなかったのに、最近とっても気になる。月経前や旅行、チョコレートなどの摂取で悪化する。月経も不順で手足が冷え、肩こり。最近は寝つきも悪い。」との事。なるほど、顎、頬、額に暗紅色の丘疹がみられます。ストレスなどが原因の「肝気鬱結」と判断し、逍遙散を服用して頂きました。3ヶ月ほどで月経も安定し、ニキビもきれいになりました。 Y君は25才のコンピュータ関係の仕事をしている男性。「過労や食事が偏ると悪化する。汗かきでお腹をこわしやすい。高校生の頃、ニキビ […]