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元気堂の漢方薬通信

VOL.179 冷えを伴うアトピー性皮膚炎

漢方の診断や治療の際、弁証論治という方法を用いますが、その中でも基本となるのが、表裏・寒熱・虚実・陰陽という八綱弁証です。アトピー性皮膚炎の漢方治療において、特に重要になるのが寒熱の鑑別です。ここで、気をつけなくてはならないのが、真寒仮熱というケースです。身体の冷えが重度のために、かえって皮膚などの身体の表面には熱症状がみられるもので、この場合、皮膚が赤いからといって、冷やす漢方薬を使うのではなく、身体の冷えの治療を主としなくてはなりません。
「16才のA子さん。背中や腕を中心に、晦暗色の紅斑、乾燥、血痂、鱗屑がみられ、痒みが甚だしい。体温が低く、いつも35℃台。足が特に冷える。身体がだるく、眠くなりやすい。ストレスなどで、目眩や頭痛、肩こりが起こりやすい。月経前は特にイライラしやすい。月経痛が激しい。やや便秘傾向。皮膚の痒みは、入浴後、疲労などで悪化しやすく、入浴中は緩解する。」とのことでした。「真寒仮熱」と「肝鬱血虚」を兼ねていると考え、附子理中湯と当帰芍薬散を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。2ヶ月ほどの服用で、体温が36℃を越えるようになり、頭痛、目眩、月経痛などのつらい症状は、ほぼなくなり、半年ほどで、皮膚もキレイになってきました。
アトピー性皮膚炎において、真寒仮熱のケースは、かなりの割合でみられ、めずらしくはありません。ただ、判別は難しく、個々の患者さんの症状に合わせた、臨機応変で細やかな対応が必要となります。また、中国などに比べ、日本人にアトピー性皮膚炎が多いのは、体質や生活様式によるものだと考えられます。当薬局では、その部分に重点を置き、中医皮膚病学をベースに日本人の体質に合わせて、独自の漢方治療を行っています。是非、一度ご相談下さい。

VOL.77 養生と五難

2008年最後の漢方薬通信ですので、いつもと少しちがう話題にしてみましょう。 漢方の重要な古典の一つに唐の時代に著された「千金方」があります。「人命は千金より貴い」ことからこの書名がつけられたといわれています。 その中に、中国の著名な養生学者・けい康の言葉が引用されています。 「養生する上で、五つの難点がある。名誉と利益への執着を捨てられないのが、第一の難点。感情のコントロールがうまくできないのが、第二の難点。歌舞音曲や色欲に溺れるのが、第三の難点。美食への執着を断てないのが、第四の難点。生命活 […]

VOL.208 多嚢胞性卵巣症候群を伴う不妊

不妊の漢方相談にいらっしゃる方の中で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といわれている方が増えてきているように感じます。PCOSは、排卵障害のひとつです。スムーズに排卵できないため、生理が遅れたり、生理が来ないこともあります。そのため、結婚後早い時期から“妊活”を開始される方も多いようです。 「29歳、結婚して3年。結婚半年で妊活をスタート。その検査で、PCOSといわれた。人工授精を数回行ったが、妊娠に至らず、体外受精を勧められている。生理周期は29~36日、ストレスで遅れやすい。経血の色は明るいが […]

VOL.128 生理痛~その5~

中医婦科学によると生理痛は、「痛経」或いは「経行腹痛」と呼ばれ、「月経期或いはその前後に、周期的に出現する下腹部や腰部の疼痛のこと。重症では劇痛となり、甚だしければ昏厥に至ることもある。」と定義されています。  42歳の会社員の方、「生理の後半と生理後に重く引きつるような痛みが下腹から横腹に生じる。痛みは、温めると少し楽になる。食欲は正常だが、疲れ気味で、肩こり、腰痛、眼精疲労がみられる。爪が脆く二枚爪になりやすい。睡眠中に足が攣ることが多い。」といった症状でした。『血虚証』と考え、四物湯と安中 […]

VOL.75 生理痛 ~その3~

21歳の女性。「月経の直前から3日目にかけて、下腹の中心から側腹に刺されるような激しい痛みを生じる。寒さや冷えで痛みが悪化し、温めると軽減する。また、夜間は痛みが激しい。月経周期は28日前後で安定。月経前に乳房が脹って痛い。手足が冷える。食欲はあるが疲れやすい。風邪もひきやすい。肩や首が凝る。子宮筋腫がある。」とのお話。 気滞血お証と実寒証を兼ねていると考え、「折衝飲」と「安中散」を服用していただきました。2ヶ月ほどで生理痛をほとんど感じなくなり、顔色も良く元気そうです。現在は冷えと筋腫を目標に […]