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元気堂の漢方薬通信

VOL.138 ニキビ ~その8~

Aさんは16才の女性。
「4年ほど前から頬と前額にニキビができる。色は暗紅色或いは淡紅色で腫脹している。月経前や甘い物の過食で悪化する。月経不順。暑がりで寒がり。ストレスもあり、肩こり、腰痛もみられる。やや軟便気味。睡眠が浅いのか、よく夢を見る。今まで清上防風湯を始め、『ニキビに良い』と言われる幾つかの漢方薬を服用したが効果が見られなかった。」といった症状でした。

ストレスなどが原因で、患部に熱を帯びた「肝火上炎証」に、少し「胃熱証」も兼ねていると判断し、丹梔逍遙散を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。
1ヶ月ほどで、ニキビが減少し、月経も順調になってきて、体調も良いようです。現在も更なる改善を目指して服用中です。

漢方では、ニキビ・吹き出物を「粉刺」と称し、体内で発生した「熱」が皮膚に影響を与え、それに外界の風熱刺激を伴うと発症すると考えられている他、肝・脾胃・肺・腎などの臓腑の機能失調により生じるとされています。

患部の症状、悪化条件、随伴症状などから、「風熱」、「脾胃湿熱」、「肝胆湿熱」、「実寒」、「肝気鬱結」、「痰凝」、「血瘀」、「脾気虚」、「陽虚」、「陰虚」、「気血両虚」等々に分類し、当薬局では、約八十種類ほどの薬方を使い分けています。

適切な漢方薬を決定する上で、ニキビの色、形、好発部位などの患部の状態が特に大切であり、必ずご本人が来局される必要がある疾患の一つです。

VOL.200 更年期のホットフラッシュ

日本産科婦人科学会のホームページによると「更年期障害の主な原因は女性ホルモンが大きくゆらぎながら低下していくことですが、その上に加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。」と定義されています。 一方、漢方では、更年期障害を経断前後諸症などと呼び、その原因を「加齢に伴って腎精(ホルモン)が減少し、その結果、肝、心、脾などが影響を受けて発生する陰陽失調」としており、表現は異なりますが、似たような定 […]

VOL.174 多嚢胞性卵巣症候群

健康な状態では、月経周期に発育を開始した卵胞のうち、1個の卵胞(主席卵胞)が大きくなり、これが、排卵します。そして、いっしょに発育を始めたほかの卵胞は萎縮していきます。ところが、多嚢胞性卵巣症候群の場合は、主席卵胞ができず、発育を始めた多数の卵胞が、みな発育途上となり、排卵できないまま、卵子だけが萎縮します。空になった卵胞が卵巣に残り、これを超音波で見ると、嚢胞が列になっていて、まるでネックレスのように見えます。これを、「ネックレスサイン」といい、多嚢胞性卵巣症候群を診断する際の特徴的な症状です […]

VOL.93 にきび ~その4~

ニキビというと、中高生の顔にできるものというイメージがありますが、最近は、二十代、三十代の大人ニキビのご相談が多くみられます。漢方においては十代のニキビは、成長期に伴う脾胃の活動過多や月経開始による血熱などが原因になっているのに対し、大人ニキビでは、ストレスや過労、胃腸障害などによる場合が多く、当然、治療法も異なります。 Mさんは36才の女性。20才くらいの時に当薬局でニキビ治療をして完治。その後、再発していなかったが、結婚、出産を経て、育児をするようになり発症。「以前とは異なり、面部全体に小丘 […]

VOL.189 習慣性流産の漢方治療

漢方では、女性の不妊のことを「不孕(ふよう)」、男性の不妊のことを「不育(ふいく)」といいます。一方、西洋医学でいう、「不育症(ふいくしょう)」とは習慣性流産のことで、漢方では「滑胎(かったい)」といいます。 「4年程前に、不妊の漢方相談をして男の子を出産された方から久々のご相談。現在は36才。その後、2回妊娠したのに2回とも稽留流産をしてしまった。それから、不安でたまらない。眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める。最近の月経の状態は、経血は暗紫色で血塊が混じる。月経痛は、脇腹に重痛がある。月経前に […]