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元気堂の漢方薬通信

VOL.121 冷え性2

アミーカ11月号は、『冷え性対策』の特集とのことでしたので、今回は、それに合わせて昨年の当薬局のカルテから、「冷え性」の患者さんを検索してみました。
 「29歳女性、膝から下の冷えが激しく、寝るときも靴下を履いている。ストレスがかかると冷えがひどくなるような気がする。月経前はイライラしやすく、胸が張って痛い。月経前半に、月経痛あり。普段から肩こりがひどい。下肢は冷えるのに、飲み物は冷たい物が好き。便秘気味でスッキリ出ない。」とのこと。
 ストレスが主な原因の「肝気鬱結」と判断して、八味逍遙散を服用していただくことにしました。
 2週間ほどで、冷えが楽になり、便が毎日スッキリ出るようになりました。
その後も同じ処方を継続していると、体調が良くなったためか、体重も減少し、イライラもしなくなったそうです。今ではとても健康的に見えます。
 漢方では、一般に「冷え性」を、身体を温める機能が低下している状態と考えます。症状や原因から、「腎陽虚」「脾陽虚」「寒邪」「寒湿」「衝任虚寒」などの病証に分類し、治療には温熱薬という身体を温めるグループの処方から、その方に合ったものをセレクトします。しかし、それ以外に、上記の「肝気鬱結」をはじめ、血液の流れの悪い「血瘀阻絡」や、水液代謝の悪い「痰飲内停」などでは、ただ単に温めれば良いというものではなく、身体の中の気・血・津液をめぐらすことが重要になります。いつものように、「冷え性」といえども、他の疾患と同様、症状や体質をきちんと分析して処方を決定することが、治療の早道となります。冷えが強いと精神的にも消極的になりがちです。漢方で身体も精神も温めて、積極的になりましょう。

VOL.115 にきび6

T君は、16歳の高校生。 「2~3年ほど前から、額、両頬、胸部、背部に淡紅色から無色の小丘疹がみられる。疲れやすく、食後眠くなりやすい。貧血傾向で、時々、目眩、立ちくらみがある。汗をかきやすい。」とのこと。 患部症状や部位、全身症状から、気血両虚に肝気鬱結を兼ねていると考え、加味帰脾湯を服用していただきました。 二週間ほどで効果がみられ、五ヶ月で、ほとんどキレイになりました。貧血傾向も改善し、目眩、立ちくらみもなくなりました。 漢方では、ニキビ・吹き出物を「粉刺」と称し、他の疾患同様、患部の色、 […]

VOL.203 アトピー性皮膚炎と「証」の併存

東洋医学では、病の症状や過程の分析から、その病状に至った原因やシステムを漢方的に解析することにより、いわゆる「証」を決定し、それを治療の根拠として漢方薬を決定します。 「証」とは、その時点における病気の原因、位置、性質、勢い、人体の抵抗力との力関係を包括しているといえます。このことは、アトピー性皮膚炎に限らず、あらゆる疾患の漢方治療において大変重要です。また、病を構成している「証」は、一つとは限らず、複数のものが混在するケースも少なくありません。 「20才のA君。患部は、ほぼ全身だが、特に腕、足 […]

VOL.201 ストレスとアトピー性皮膚炎

成人のアトピー性皮膚炎は、幼少期に発症しそのまま消退せず成人まで続く場合と、外部環境、ストレス、過労、食事の偏りなど、様々なことから、成人になって再燃する場合がみられます。 「38才のA子さん。幼い頃から身体が弱く、アレルギー体質だったが、大きな皮膚のトラブルは無かった。18才の時、大学受験でストレスがかかり、皮膚の痒みや紅斑が発症。その後、外用剤などで症状は落ち着いたが、ストレスなどのきっかけで発症する。現在は、背中からお尻、足にかけて赤みと痒み、乾燥、落屑があり、ジュクジュクしている部分も多 […]

VOL.73 不妊 ~その2~

漢方では、不妊を「不孕」「求子」「無子」「絶産」「絶子」 などと称し、婦人科分野において、古典にも多くの記載がみられます。 漢方において、五臓の中で最も妊娠に深く関わるのは腎です。腎には成長発育、生殖の源となる基本物質が蓄えられていて、これを腎精と呼んでいます。腎精が不足すると生殖機能の低下、不妊、月経不調、閉経が早まる、ホルモン分泌の異常、老化の早期化などが起こりやすくなると考えられています。そのため、漢方の不妊治療において、腎精を充実させることは必須です。 「33歳の女性。結婚して5年になる […]