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元気堂の漢方薬通信

VOL.168 アトピー性皮膚炎~その23~

アトピー性皮膚炎の漢方治療において、寒証と熱証の鑑別は、最も重要なことの一つです。皮膚が赤くなっているから熱を持っているとは限りません。素手で雪や氷を握っていると手が赤くなるように、冷えによっても赤みは生じます。
更に、「真寒仮熱」という証候がみられることも少なくありません。
「真寒仮熱」とは、体内の冷え(寒)が強いために、微弱な陽気が外に追いやられ、体表や四肢、頭部顔面などに熱証のような仮の症状がみられることをいいます。
36才の男性Aさん。「小学生のころからアトピー性皮膚炎。ストレスなどをきっかけに、1ヶ月ほど前から特に悪化した。現在は、ほぼ全身に発症しているが、特に頭面部、首に好発している。患部は暗褐色から淡紅色、痒み、乾燥が強く、汗をかいた時、疲労時、ストレス、夜間に加重。ステロイドの塗り薬などで対処しているが、一進一退。皮膚に赤みがあるのに、身体が冷える感じがして、温かい飲み物を好む。不安感があり、寝つきが悪く、夜中に目が覚めやすい。やや下痢をしやすい。」とのことでした。真寒仮熱と心腎不交を引き起こしていると考え、四逆湯と桂枝加竜骨牡蛎湯、それから心身と皮膚のダメージ改善を目的に瓊玉膏を服用していただくことにしました。
10日後に来局され、「全体的に、随分楽になりました。身体が冷える感じも少なくなりました。」と不思議そうです。現在も同じ処方を服用中で、悪化はみられず、快方に向かっています。
「真寒仮熱」の鑑別は難しいので、自己判断ではなく、漢方薬を専門に扱っている所に相談して服用することが大切です。「いろいろ試したけど良くならない。」という方は、漢方的にしっかり判別してみると良いでしょう。

VOL.171 不妊と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。不孕の漢方相談にいらっしゃる方の多くは、不妊クリニックでの治療も行っています。なかには、排卵誘発剤を用いていて「卵巣が腫れているから、治療を少しお休みしましょう」と言われる方もいらっしゃいます。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)かもしれません。 「38歳、結婚して2年が経過する方。お仕事が超多忙で、家事との両立に苦心している。疲れやすく、体重が減少し、月経が来なくなってしまった。心配になり婦人科を受診。排卵誘発剤があれば月経が来るが、卵巣が腫れたた […]

VOL.115 にきび6

T君は、16歳の高校生。 「2~3年ほど前から、額、両頬、胸部、背部に淡紅色から無色の小丘疹がみられる。疲れやすく、食後眠くなりやすい。貧血傾向で、時々、目眩、立ちくらみがある。汗をかきやすい。」とのこと。 患部症状や部位、全身症状から、気血両虚に肝気鬱結を兼ねていると考え、加味帰脾湯を服用していただきました。 二週間ほどで効果がみられ、五ヶ月で、ほとんどキレイになりました。貧血傾向も改善し、目眩、立ちくらみもなくなりました。 漢方では、ニキビ・吹き出物を「粉刺」と称し、他の疾患同様、患部の色、 […]

VOL.200 更年期のホットフラッシュ

日本産科婦人科学会のホームページによると「更年期障害の主な原因は女性ホルモンが大きくゆらぎながら低下していくことですが、その上に加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。」と定義されています。 一方、漢方では、更年期障害を経断前後諸症などと呼び、その原因を「加齢に伴って腎精(ホルモン)が減少し、その結果、肝、心、脾などが影響を受けて発生する陰陽失調」としており、表現は異なりますが、似たような定 […]

VOL.208 多嚢胞性卵巣症候群を伴う不妊

不妊の漢方相談にいらっしゃる方の中で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といわれている方が増えてきているように感じます。PCOSは、排卵障害のひとつです。スムーズに排卵できないため、生理が遅れたり、生理が来ないこともあります。そのため、結婚後早い時期から“妊活”を開始される方も多いようです。 「29歳、結婚して3年。結婚半年で妊活をスタート。その検査で、PCOSといわれた。人工授精を数回行ったが、妊娠に至らず、体外受精を勧められている。生理周期は29~36日、ストレスで遅れやすい。経血の色は明るいが […]