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元気堂の漢方薬通信

VOL.165 不妊~その15~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。その中には、子宮筋腫などの婦人科の合併症のある方も漢方相談にいらっしゃいます。
「35歳、結婚して4年。お仕事は出張が多く、超多忙。子宮筋腫が複数あり、高プロラクチン血症もある。不妊クリニックで顕微授精を行ったが、妊娠に至らない。採卵できないこともある。月経周期は24~28日。経血の色は暗紫色で、時々塊が混じる。月経前は、イライラしやすく、胸が脹る。心配性で、睡眠が浅く、毎晩のようにお小水に起きる。胃腸が弱く、少食で下痢しやすい。時々立ちくらみがする。冷え性で、とくに手足が冷える。」とのこと。心身ともにかなりお疲れのようです。
血瘀証に心脾両虚証、肝気鬱結証を兼ねていると考え、折衝飲と帰脾湯、逍遙散を飲み分けていただきました。また、腎陽を補うために鹿茸大補湯を併用しました。冷えや月経の状態が徐々に改善し、約4ヶ月後、朝までぐっすり眠れるようになりました。良い状態で採卵できるようになり、約1年後、杯移植に成功し、めでたく妊娠。安胎の漢方薬も服用して、かわいい女の子を無事出産。とてもおだやかなママの笑顔です。
漢方では不妊を月経や全身の症状から、「腎陽虚証」「腎陰虚証」「気血両虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血瘀証」などに分類し、それぞれに応じた三十ほどの処方を組み合わせていきます。子宮筋腫や高プロラクチン血症などがあれば、それも考慮します。お身体に合った漢方薬で、妊娠しやすいコンディションに整えていきましょう。当薬局では、不妊のご相談は出産経験のある女性薬剤師が主に対応させていただいております。安心して、ご相談下さい。

VOL.144 耳鳴~その2~

耳鳴とは、実際には音がしていないのにも関わらず、何かが聞こえるように感じる現象をいいます。単側の耳に起きる場合もあるし、両耳に発症する場合もあります。  漢方では、耳は臓腑でいうと特に肝胆、脾、腎と関連しているといわれ、耳鳴は、ストレスや過労、老化、食事などの不摂生、身体虚弱、発熱性疾患、上気道炎などが耳鳴の原因とされています。  76才の女性、「両耳に発症する耳鳴。セミの鳴き声のような音が持続する。左が特にひどい。疲れたときや夕方に悪化しやすい。普段からストレスが多い。下肢が冷えて重だるい。肩 […]

VOL.58 アトピー性皮膚炎2

「アトピー性皮膚炎」は、当薬局でも御相談が多い疾患の一つです。漢方では、「浸淫瘡」「血風瘡」「四弯風」「旋耳瘡」「異位性皮膚炎」「遺伝過敏性皮炎」「変位性皮膚炎」等と称しますが、発生頻度は日本の方が高いようです。 「3歳の男の子。皮膚全体が淡紅色~淡褐色、掻くとジュクジュクする。汗をかくと痒みが増す、食が細く好き嫌いが多い。お菓子やジュース類が好き。やや軟便気味。病院では、抗アレルギーの飲み薬とステロイドの塗り薬を処方されているが、一進一退。」との事でした。 胃腸が弱く消化能力が十分でないためア […]

VOL.96 生理痛~その4~

23歳の女性。 「月経の前半に、下腹が絞られるような激しい痛みを生じる。初日が特にひどい。寒さや冷えで痛みが悪化し、温めると軽減する。月経周期は31日前後で安定。月経前に乳房が脹って痛い。手足が冷えて寒がり。冬にはシモヤケができやすい。髪に潤いが無く、唇が荒れやすい。」とのお話。 『陽虚証』と『血虚証』を兼ねていると考え、「温経湯」と「安中散」を服用していただきました。 2ヶ月ほどで生理痛をほとんど感じなくなり、顔色も良く元気そうです。 生理痛は、漢方では、「経行腹痛」「痛経」等ともいい、比較的 […]

VOL.45 便秘

Kさんは28才の女性。「長年便秘に悩んでいるが、市販の便秘薬を服用すると腹痛がひどく下痢になってしまう。お腹が張る。手足が冷えるが、冷たい飲み物が好き。肩こり。やや眠りが浅い。」との事。 陽虚と血虚を兼ねた便秘と考え、双和湯を服用していただき、「お腹の中を温める漢方薬ですが、下剤は入っていない処方なので、どうしても出ないときだけ、お手持ちの市販の漢方便秘薬を少量だけ使って下さい。」とお話しました。 一週間後、「便秘薬は服まずに便通があります。お腹も痛くありません。」とうれしそう。こちらまで爽快な […]