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元気堂の漢方薬通信

VOL.136 ドライマウス

最近、耳にすることが多くなった「ドライマウス」ですが、「口腔乾燥症」といい、唾液分泌量が低下して、咽が渇いたり口の中が乾燥することにより、痛みや不快感が生じる疾患です。発症原因としては、薬剤の副作用、糖尿病や更年期障害、腎不全、口腔周囲の筋力の低下、ストレスなどがあげられます。男性より女性に多い傾向にあります。
 65才のAさん。「数年前に大きなストレスがあり、その頃から唾液が出にくくなり口内が乾燥。さらに口の中の粘るような不快感、舌や口内の粘膜が傷ついて痛む、発音しにくい、喋りづらい、食べものが飲み込みにくい、味覚異常などの症状が見られる。また、虫歯や口内炎になりやすくなった。今でも、ストレスが多く、寝つきも悪い。」との症状でした。舌を診せていただくと赤く、舌苔は無し。お話をしている間も、水分を摂らないと会話ができない状態でした。肝鬱化火から陰虚燥熱を生じていると判断し、丹梔逍遥散と白虎加人参湯を服用していただき、瓊玉膏を併用することにしました。1ヶ月程して少しずつ唾液が増えてきた様子。3ヶ月程経過したある日、歯科医の先生から「唾液が増えてるね。」といわれたと、嬉しそうにお電話を下さいました。現在は、飲物無しで普通に会話ができるところまで良くなり、更なる改善をめざして、服用中です。
 漢方では、その症状や程度、発病時期、発病状況、悪化条件、好転条件、随伴症状、今までの治療経過、既往症などから、「口腔乾燥症」を分析し、「胃熱熾盛」「熱入営血」「肝火上炎」「水飲内停」「肺燥傷津」「陰虚燥熱」等の様々なパターンに分類し、更に詳細に判断して漢方処方を使い分けていきます。
 「口腔乾燥症」は、漢方においても難しい疾患ではありますが、著効を示すこともあります。複数のパターンが、複雑に混在している事が多く、きちんと判別し、その方に合った治療法及び漢方薬を決定することが治療のカギとなります。

VOL.167 月経時の頭痛

東洋医学では、月経周期に伴って現れる諸症状を「月経前後諸症」と呼んでいます。中でも、頭痛が主の場合を「経行頭痛」といいます。 「38才のAさん。普段から肩、首、背中が凝り、月経前になると、それが強くなり、頭痛が起こる。月経周期は30日。月経前半に月経痛あり。ストレスがありイライラすることが多い。以前から貧血気味で疲れやすくフラフラすることもある。月経前に足が浮腫む。やや便秘傾向。」とのこと。精血不足がベースにあり、そこにストレスが加わって、肝鬱血虚を引き起こしていると考え、瓊玉膏と逍遙散を服用し […]

VOL.130 にきび ~その7~

ニキビは、皮膚科学では「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」、漢方では「粉刺(ふんし)」と称します。毛嚢と皮脂腺の慢性炎症による皮膚疾患の一つです。皮脂過多や毛孔の角化などにより皮脂の分泌がスムーズに行われないと炎症を起こし、顔面をはじめ胸部、背部、肩部などに多く発症します。ニキビは毛嚢に一致して生じ、発展過程において面皰、丘疹、膿皰、結節、瘢痕、痘痕などがみられます。そのため、臨床では往々にして数種の段階のニキビが同時に存在します。 「K君は17才の高校生。5年ほど前から、赤みが強く熱感のある […]

VOL.81 にきび ~その3~

ニキビというと、中高生の顔にできるものというイメージがありますが、最近では、二十代、三十代の大人ニキビのご相談の方が多くみられます。 漢方においては十代のニキビは、成長期に伴う脾胃の活動過多や女子では月経開始による血熱などが原因になっているのに対し、大人ニキビでは、ストレスや過労、胃腸障害などが関わっている場合が多くみられます。当然、治療法は同じではありません。 Mさんは23才の女性。「両頬に特に多く、最近とっても気になる。按圧すると痛いことがある。月経前や疲労、睡眠不足で悪化する。月経も不順で […]

VOL.34 膀胱炎

梅雨入りして、数日後のある日、20代半ばの女性が来店されました。 「すみません、猪苓湯下さい。」これは膀胱炎かなと思いながら、いくつか症状をお聞きすると、「以前から膀胱炎になりやすく、他の薬局で『膀胱炎には猪苓湯だよ。』と奨められ二週間ほど飲んでみたがあまり良くならない。」との事。 症状としては「下腹部に不快感があり、軽度の排尿痛がある。小便は回数が多いが、量が少ない。小便の色は、淡黄か無色透明。下半身が重だるく、冷えると悪化する。」猪苓湯の使用目標の「血尿」も「小便黄赤」も「喉の渇き」もまるで […]