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元気堂の漢方薬通信

VOL.98 アトピー性皮膚炎~その10~

今回も当薬局で最近ご相談が多い「アトピー性皮膚炎」です。

栃木県からわざわざ漢方相談にみえている5才の男の子。
「乳児期よりアトピー性皮膚炎。ステロイド軟膏や抗アレルギー剤にて治療を続けていた。首から下全体に、乾燥し苔癬化が激しい。痒みが強く、掻破痕、落屑などがみられる。夕刻から夜間に悪化し、入浴、疲労、睡眠不足、ストレスなどで悪化する。暑がりで汗かき。喉が渇きやすい。」との事。
患部症状や病歴から『陰陽両虚』と判断し、六味丸と小建中湯を服用してもらうことにしました。
長期にステロイド軟膏を多用していたため、瓊玉膏も併用し、スキンケアの指導もさせていただきました。

30日ほどで効果が見え始め、その後、悪化、好転を繰り返しましたが、半年ほどで症状も落ち着き、病院の塗り薬等も使わなくてもよくなりました。

長期の漢方治療が必要だったため、3年程かかってしまいましたが、本人とご家族の努力の甲斐があって、先日めでたく漢方薬から卒業となりました。
ツルツルのお肌でニコニコ帰って行きました。食欲も旺盛で身長も伸びて、逞しくなりました。

漢方的にみると、乳児期よりアトピー性皮膚炎で、ステロイド軟膏の多用がみられる場合には、今回のように脾と腎が失調しているケースが多くみられるようです。
いたずらにステロイド軟膏を悪者にするのは、考えものですが、極端に強いものの多用や長期連用は心配ですね。

アトピー性皮膚炎は、その患部症状や体質などから、この他にも多くのパターンに分けられます。
当薬局では、パターンにあわせて、約八十種類の処方を使い分けています。他の疾患と同様、漢方の診断基準に則り、きちんと判別していく事が治療の早道です。

VOL.107 アトピー性皮膚炎13

Aくんは6ヶ月の男の子。 「顔全体、特に?と額に淡紅色の紅斑、乾燥、鱗屑がみられ、まぶたの周辺は掻くとジュクジュクすることもある。耳切れが生じている。膝の裏にも紅斑がみられる。暑がりで汗をかくと痒みが増す。大便は2~3日に1回。 病院では、ステロイドの塗り薬と保湿薬を処方されているが、あまり良くならない。」との事でした。 「脾気虚証」タイプのアトピー性皮膚炎と判断し、黄耆建中湯を服用してもらいました。最初の2週間でかなり改善が見られ、便通も1日1回になってきました。その後、来局のたびに改善し、現 […]

VOL.144 耳鳴~その2~

耳鳴とは、実際には音がしていないのにも関わらず、何かが聞こえるように感じる現象をいいます。単側の耳に起きる場合もあるし、両耳に発症する場合もあります。  漢方では、耳は臓腑でいうと特に肝胆、脾、腎と関連しているといわれ、耳鳴は、ストレスや過労、老化、食事などの不摂生、身体虚弱、発熱性疾患、上気道炎などが耳鳴の原因とされています。  76才の女性、「両耳に発症する耳鳴。セミの鳴き声のような音が持続する。左が特にひどい。疲れたときや夕方に悪化しやすい。普段からストレスが多い。下肢が冷えて重だるい。肩 […]

VOL.61 生理痛 ~その2~

32歳の女性、 「生理の初日と二日目に、下腹部が冷えて絞られるような強い痛みがある。痛みは、温めると楽になり、冷えると悪化する。寒がりではないが、手足が冷える。月経周期は35日くらい。以前、他の漢方薬局で血府逐お湯を奨められて服用してみたが無効だった。」 との事。 血府逐お湯が出番となる「気滞血お証」にしては、経前乳脹や刺痛或いは拍動痛などがみられません。「気滞血お証」ではなく「実寒証」と判断し、安中散と四物湯を一緒に服用していただくことにしました。 あれほど辛かった生理痛が軽くなり、「ウソみた […]

VOL.74 頭痛 ~その2~

37才女性、Aさん。「産後しばらくして左側頭部の重い痛みが発症。1年ほど続いている。頭痛と共に患部の熱感、肩こり、悪心などを伴う。ストレス、疲労などによって悪化しやすく、生理前後は特に発症しやすい。疲れやすく、不安、イライラ、耳鳴りがある。睡眠がやや浅い。軟便気味。」との事。 「肝陰虚」と「肝気鬱結」を兼ねていると考え、丹梔逍遥散を服用していただくことにしました。出産と過労による体力の低下も大きな要因になっていると考え、瓊玉膏も併用しました。 1、2ヶ月ほど著効がみられませんでしたが、3ヶ月後に […]