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元気堂の漢方薬通信

VOL.74 頭痛 ~その2~

37才女性、Aさん。「産後しばらくして左側頭部の重い痛みが発症。1年ほど続いている。頭痛と共に患部の熱感、肩こり、悪心などを伴う。ストレス、疲労などによって悪化しやすく、生理前後は特に発症しやすい。疲れやすく、不安、イライラ、耳鳴りがある。睡眠がやや浅い。軟便気味。」との事。

「肝陰虚」と「肝気鬱結」を兼ねていると考え、丹梔逍遥散を服用していただくことにしました。出産と過労による体力の低下も大きな要因になっていると考え、瓊玉膏も併用しました。

1、2ヶ月ほど著効がみられませんでしたが、3ヶ月後には、あれほど起きていた頭痛が、月に1、2回になり、5ヶ月後には、ほとんど起こらなくなりました。体力も回復して、お元気そうです。

漢方では、病気の診断・治療方法に「弁証論治」という方法を用います。頭痛はその中でも特に様々なパターンがみられる疾患の一つです。

まず、頭痛を原因や症状から、気候や環境の影響による「風寒」「風熱」「風湿」「暑湿」「実寒」、ストレスによる「肝気鬱結」「肝火上炎」、水分代謝が悪いために生じる「痰飲」、暴飲暴食などによる「胃熱」「食滞」、血液の流れが悪い「お血」、過労や睡眠不足が引き起こす「気虚」「陽虚」「血虚」「陰虚」、加齢による「腎虚」などのパターンに分類していきます。その際、痛む部位、痛みの種類、悪化する条件、楽になる条件、現在までの経過などを考慮することが大切です。そして、パターンに応じた治療法則を決定し、熟慮した上、漢方薬を決定します。頭痛に使用する漢方処方は、百種類を越えます。

VOL.188 男性不妊の漢方治療

西洋医学において、妊娠はするものの流産などを繰り返し、赤ちゃんが得られないことを不育症といいます。一方、漢方では、女性に原因がある不妊を「不孕」、男性に原因がある不妊を「不育」と称します。「不育」は、性機能障害、精子の異常、精液の異常、精液運輸障害の4つに分類されます。器質的異常の場合、漢方治療が難しい場合もありますが、性機能障害や精子の異常などは、漢方が有効な場合が多いです。 「38才のAさん。精子の運動率が低く、奇形率が高い。寒がりで排尿回数が多く、小便に勢いがない。肩こり、腰痛があり下肢が […]

VOL.55 不妊

『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後3年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに3年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。 「30歳の女性。結婚して4年になるが、子供ができない。月経周期は安定しているが、月経痛が激しく、温めると楽になる。お腹や手足が冷える。ストレスも多く、疲れやすい。肩こり、腰痛もある。」とのお話でした。肝気鬱結証に陽虚証を兼ねてい […]

VOL.167 月経時の頭痛

東洋医学では、月経周期に伴って現れる諸症状を「月経前後諸症」と呼んでいます。中でも、頭痛が主の場合を「経行頭痛」といいます。 「38才のAさん。普段から肩、首、背中が凝り、月経前になると、それが強くなり、頭痛が起こる。月経周期は30日。月経前半に月経痛あり。ストレスがありイライラすることが多い。以前から貧血気味で疲れやすくフラフラすることもある。月経前に足が浮腫む。やや便秘傾向。」とのこと。精血不足がベースにあり、そこにストレスが加わって、肝鬱血虚を引き起こしていると考え、瓊玉膏と逍遙散を服用し […]

VOL.62 喘息 ~その2~

喘息のお子さんを持つお母さんの会でお話をさせていただいた時の事です。 講演後に、一人のお母さんから「うちの子は小青竜湯をずっと服用しているのですが、あまり効果がありません。漢方薬が効かない体質なのでしょうか?」とご質問を受けました。 症状をうかがうと、「疲れると発作が起きる、季節の変わり目や急に冷え込んだ時なども発作が起きやすい、発作時はゼーゼーして透明から白っぽい痰をだす。疲れやすく食が細い、カゼをひきやすい、汗かき。」といった様子。 漢方では、小青竜湯は、せいぜい発作期の『冷哮』タイプに使う […]